20年の時間を越えて |
2008/11/18 (火) カテゴリー/日記

鞄を新調しました。
黒い鞄は、冠婚葬祭用・式典用の小さいのと、小旅行用の大きいのしか無かったので、
これは、普段使い用です。
週末、この新しい鞄を持って、ある集まりに参加しました。
同窓会です。
と言っても、
私が勤めていた中学の学年同窓会で、
私は、当時の「先生」として招待されたのです。
その学年は、私が初めて担任した、忘れようとしても忘れられない生徒たちです。
楽しいことよりも、辛かったことの多い、
いや、と言うよりも、
思い出すと胸の奥底から痛みが湧き出てくるような、後悔ばかりの3年間で、
生徒たちに合わす顔がない、というのが正直なところ。
(実際、4年前の会では、欠席してしまいました)
今回も、随分悩んだけれど、熱心に誘っていただいたこともあって、
思い切って出席。
行ってみると、案の定、当時の教師陣で中途退職しているのは私だけ。
皆、今も現役バリバリで教壇に立っておられる方ばかりで、
何だか居所がない感じでした。
しかし、そんな私にも、何人かの生徒が話しかけてきてくれました。
そのうちの1人。
「俺、分かる?」
と凄く親しげに話しかけてきた、長身の青年。
日焼けした顔に、ちょっと長い髪。スーツもビシッと決まっています。
「えっ? ごめん。誰?」と言うと、凄く怒って、
「嘘やろ? 俺やで、俺。」
「え?・・・ゴメン」
「めっちゃショック・・・。俺、先生のクラスやのに」
あんまり哀しそうに言うので、思い出してあげたくて、
顔をまじまじと眺めるのだけれど、どうしても分からない。
他の先生にも応援を頼むけれど、やっぱり誰もどうしても思い出せない様子。
「降参・・・ゴメン。教えて」
「Ka」
「え〜っ? Ka?」
それは、私が初めて担任したクラスで、やんちゃばかりした男の子。
勉強が嫌いで、運動も苦手で、ついつい悪いことにばかり手を出して・・・
でも、愛嬌があって、全く憎めない可愛い子でした。
そりゃあ、本人が、「覚えられていないとは思っていない」のは無理も無い。
しかししかし、当時の彼は、小さくて細くてクリクリ坊主で…。
「こんなに立派になって…」
というフレーズを、正に、実感。
彼の成長が、本当に本当に嬉しく思われました。
もう1人。
「先生。先生に担任してもらいました」
そう近づいてきた彼は、当時とまるで同じ顔だったので、すぐに分かりました。
Ke君です。
「先生は、僕らが初めての担任だったんですよね」
にこにこ話し掛けてくれるKe君に、これまた、とても感動しました。
なぜなら、彼は、当時、とてもはにかみ屋で、
担任の私とざっくばらんに話しをすることなど皆無の子だったからです。
成績優秀で、いつも、憂いを含んだ瞳で私を見る美少年だったのですが、
当時の私は、それがとても辛く、
「いつも生徒に振り回されて、なんて情けない教師だ。
こんな奴とまともに話しをする気にならない。」
そう突き放されているような気がしてならなかったからです。
その彼が、自ら近づいてきてくれるなんて。
感動のあまり、その、当時の気持ちを話すと、
「僕、そういう風に見られやすいんですけど…。
僕は、新米の女の先生が担任で、凄く嬉しかったんですよ。
先生に憧れていました」
と。
もう、天地がひっくり返るほどびっくりするとは、この事です。
私は、当時の男子生徒が、私に、悪意こそ抱け、
「憧れ」なんて感情を持っているとは、微塵も思っていませんでしたし、想像も出来ませんでした。
その後も、彼は、
「頼りない教師で、申し訳なかった」
という話になると、
「でも、熱意は、伝わってきました。」
とフォローしてくれたり…。
他にも、
「先生は、怒る時も一生懸命で、怒られると嬉しかったですよ」
と言ってくれる人も居て、
半分以上はお愛想だと分かっているものの、
心の中にずっとわだかまっていたものが溶けていくような喜びがありました。
勿論、悲観論者の私は、
「当時、彼らのそういう子どもらしい気持ちに気付かず、敵みたいに恐れていた」自分を、
やっぱり駄目教師だと思うし、穴があったら入りたい、謝りたい気持ちは変わりません。
でも、
今回、彼らと会い、
人は成長することや、長い時間が経って分かり合えること、を体感して、
「人間は、よいものだ」
と思えたことは、とても幸せです。
そして、
今も教壇に立っている先生方や悩んだり傷ついたりしている中学生たちを応援したい気持ちと、
その世界から離れて、今、私が掴んだ2人の娘たちを愛しく思う気持ちがいっぱい。
温かいものを沢山、鞄に詰め込んで帰途についたのでした。
はじめまして、内野さんファンの陽子と申します。
今日の日記を読んで、初めてコメントさせていただきます。
先生って大変な職業だけど、こんな素敵な贈り物も頂けるんですね。
苦い思い出が、素敵な思い出に変わってよかったですね。
こちらもとても温かい気持ちにさせていただきました。
今日の日記を読んで、初めてコメントさせていただきます。
先生って大変な職業だけど、こんな素敵な贈り物も頂けるんですね。
苦い思い出が、素敵な思い出に変わってよかったですね。
こちらもとても温かい気持ちにさせていただきました。
陽子 | URL | 2008/11/18 (火) 16:43
初めまして
陽子さん、こんにちは。
コメント有難うございます。
<先生って大変な職業だけど、こんな素敵な贈り物も頂けるんですね。
たった13歳だった彼らが、こんな風に温かく私を見ていてくれたと知ったことは、本当に感激です。当時の学校は荒れていて、私は、授業を成立させることとやんちゃな生徒を相手にするのだけで手一杯。自分のクラスの一人ひとりの生徒とゆっくり話す時間は、皆無で、何にもしてあげられない先生でしたから。
今回「先生はいつも泣きそうな顔ばかりしていた」と言った子も、あるくらい。
それでも、教師をしていると、子どもたちや保護者の方から教わることや感動させられることが沢山あります。私の短い教職生活は、そんな贈り物を貰ってばかりで、それは、今の私の子育ての基本にもなっています。
その数分の1でも返せていたら、こんなに後悔しないのですが…。
こんな私の個人的な感慨が、陽子さんの心に留まって少しでも温かい気持ちになって頂けたなら、幸せです。
内野さんに関わる話は少なくて、折角覗いていただいても空振りのことが多いでしょうね。ゴメンナサイ。
これからも、こんな調子で参りますが、良ければ、またお越し下さいね。
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